門内薬局解禁に。医薬分業規制見直しでどう変わる?

医薬分業とは?

厚生労働省は、院内薬局の規制を緩和することを決定し、2016年4月より実施されることになりました。これまでは、医師と薬剤師が業務を分担する「医薬分業」の理念のもとに「施設間にフェンスを設置すること」などの厳しい規制がありましたが、一部の規制が変更・緩和されることになりました。

医薬分業とは、医師や歯科医師が担当する治療と、調剤や服薬指導、薬歴管理などの薬剤師の業務を分業し、それぞれの専門性を高め、医療の質の向上を図るという考え方です。

具体的には、医師が経営する病院と、薬剤師の薬局がそれぞれ独立し、親会社・子会社のように、一方の業務に影響を与えることを禁じています。例えば、病院からの処方箋の売上が利益の大半を占めると、病院への依存度が高まるため、薬局の報酬となる調剤料が下がるといった制度もあります。

医薬分業はヨーロッパでは数百年前から取り入れられており、医師と薬剤師の人的・物理的分離と、身分・権利の平等化などが定められていました。これはもともとは、権力者の治療についた医師によって毒殺されることを防ぐためと、治療と薬品の管理者を分けることで、医療者の権力が分散することが狙いでした。元来の目的はともかく、医薬分業は大きなメリットがあるため、次第に世界中で取り入れられるようになりました。

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医薬分業のメリット

医療分業のメリットとして、医師と薬剤師がそれぞれの専門分野に専念できることと、責任体系が明確になります。

病院では、大量の薬品を保有する必要がなくなり、処方箋を出すことで治療に必要な薬を自由に指示することができます。本当は○○薬の効果が高いけれど、うちにはないから効果の劣る△△薬で代用するといったことを防げます。

医師は薬品の管理や、服薬の指導といった業務を薬剤師に任せることで「治療」に専念することが出来るようになります。単純に「覚えること」を減らすことができれば、専門性が高められるので、医師・薬剤師両者に大きなメリットとなります。

また、医薬分業をすることで、処方箋のダブルチェックができます。薬剤師が処方箋を再チェックすることで、投与ミスや不要な薬の投与、危険な副作用・相互作用を防ぐことができます。他の治療で使用した薬との調整など、薬歴管理によって完全に把握することが求められます。

人の命に関わる仕事のため、間違いのない体制が必要です。業務を分割し、責任体系を明確化することで、治療の質を高めることが医薬分業の目的です。

医薬分業のデメリット

医薬分業のデメリットとして、手間と費用の増加の2つが考えられます。

患者からしてみると、病院で診察を受けたのち、薬を購入するために薬局にも行かなければならないので、二度手間となります。現在の制度では、独立性を保つためという趣旨から、薬局は病院の敷地内に設置することはできません。大きな病院では広大な駐車場をまわって、敷地外の薬局まで薬を貰いに行くということも良く見かけます。高齢者や体の不自由な方にとって、この手間は大きな負担となっています。

また、医療分業によって費用が増えてしまうというデメリットもあります。病院の処方箋料や、薬局のの調剤基本料など、間にたくさんの人が関わるため、手数料・人件費がかかるのです。少子高齢化社会がすすむ日本にとって、医療費の増加は大きな課題となっています。

規制緩和でどう変わる?薬局・薬剤師への影響

1月27日の中央社会保険医療協議会(中医協)の総会では、病院と薬局間を「公道を通らずに行き来できる」ように規制を緩和することが決められました。

ただし、公道から薬局の出入り口を確認できること、病院の休診日であっても薬局を利用できること等の条件を満たす必要があります。今回の規制緩和では、病院建物内の薬局設置は負荷となりそうです。不動産の賃貸借や経営状態を定期的な報告など、薬局の独立性の担保が求められます。

また、平成28年度の診療報酬改定では大病院周辺のいわゆる「門前薬局」に対して、同じ病院からの処方が一定数以上になると、調剤報酬が減額されることになる予定です。そして今回の規制緩和で想定される「門内薬局」も同様の扱いになるとみられます。

今回の規制緩和の印象としては「まずは第一歩」という様子見の意味が強そうです。フェンスの設置が不要になったり、敷地内の薬局設置が緩和されるとはいえ、同じ建物内は禁止されているので、今すでにある薬局をどうこうするというところは少ないでしょう。

いずれは医薬分業しつつも、同じ建物内で病院と薬局が同居し、手間を減らす方向へ進むのではないでしょうか。薬局にとってわざわざ建物をもつことはコストが増えるだけですし、同じ建物内であれば医師との連絡がスムーズになるのでメリットは大きいです。

かかりつけ薬局による「一元管理」を求める声も多いですが、将来的にはITインフラの整備によって、複数病院・薬局間での薬歴の共有が一般的になりそうです。

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